簿記1級の勉強しているけど、おすすめの電卓はないかな?
電卓はいろいろあって迷うよね。
電卓はかなり種類があるので選ぶのも一苦労です。
日商簿記1級レベルまで行けば、安い電卓を使っていると、問題を解くときに非効率になったりと、合格から遠のいてしまいます。
簿記検定にお勧めの電卓とは、どんな機能が搭載されているものなのか。
この記事では、簿記検定に適した電卓の選び方と、私が使っていたおすすめの電卓を紹介します。
簿記検定に使えない電卓
以下の機能があるものは持ち込みできません。
印刷(出力)機能、メロディー(音の出る)機能、プログラム機能(例:関数電卓等の多機能な電卓、売価計算・原価計算等の公式の記憶装置がある電卓)、辞書機能(文字入力を含む)
※ただし、次のような機能は、プログラム機能に該当しないものとして、試験会場での使用を可とします。・日数計算 ・時間計算 ・換算 ・税計算 ・検算(音の出ないものに限る)
電卓には、普通電卓以外にも、関数電卓や実務電卓といった特別な機能が搭載されたものも存在します。
しかし、簿記試験で使用できる電卓には制限があり、簿記試験では、計算機能があるもののみ使用可能とされております。
以下の機能が搭載された電卓が使用できません。
- 印刷機能
- メロディー機能
- プログラム機能
- 辞書機能
ただし、日数計算や時間計算、換算、税計算、検算といった機能は禁止されていません。
簿記1級におすすめの電卓
結論から言うと、簿記1級におすすめの電卓はシャープのEL-G37(学校用電卓)かEL-N942-X(実務用電卓)です。
SHARP EL-G37(学校用電卓) | SHARP EL-N942-X(実務用電卓) | |
---|---|---|
税金計算機能 | × | 〇 |
桁数 | 12 | 12 |
日数計算機能 | 〇 | △ |
メモリー機能 | 〇 | △ |
サイレント機能 | 〇 | 〇 |
ルート機能 | 〇 | △ |
アンサーチェック機能 | × | 〇 |
早打ち機能 | 〇 | 〇 |
定数機能 | 〇 | 〇 |
GT機能 | 〇 | 〇 |
販売価格 | 税込6,800円 | 税込3,745円 |
簿記検定のために開発された電卓:シャープEL-G37
実務電卓:シャープEL-N942X
EL-G37は、学校用電卓、EL-N942Xは、実務電卓という位置づけです。
サイズはまったく同じで、キー配列もほぼ同じです。
EL-N942X(実務用電卓)には左上に[税込][税抜]ボタンがあり、消費税計算ができます。
しかし、[日数/時間]キーは、EL-N942X(実務用電卓)では、√キー、M+キーと共用になっているので、キーが独立しているEL-G37(学校用電卓)の方が分かりやすいです。
EL-G37(学校用電卓)には、アンサーチェックと税計算のボタンがないですが、アンサーチェックは、(個人的には)使う場面はほとんどありません。
税金の計算も「✕1.08」や「✕1.1」をするだけで税込額の計算はできますので、計算専用のボタンはなくても困らないと思います。
値段の安さから見ると、EL-N942X(実務用電卓)の方がお勧めですが、使いやすさの面では、EL-G37(学校用電卓)の方が有利かと思います。
ちなみに私は、EL-G37(学校用電卓)を使用していました。
電卓の選び方
大きさは手のひらサイズ
簿記で使用する電卓の大きさは手のひらサイズがおすすめです。
小さい場合はキーが押しにくく、タイプミスの原因になります。
大きい場合はスペースが必要なので、机が小さいと勉強しにくいです。
試験会場によっては、狭いスペースで受験しないといけない場合がございますので、注意が必要です。
そのため、キーが押しやすくスペースが狭くても使用できる手のひらサイズが適切なサイズといえます。
本体が重すぎず軽すぎない
実際に電卓を持ち歩いたり、机の上で使用したりしてみると、およそ180g~220gが最適な重さであると感じます。
なお、軽すぎる電卓には注意が必要です。
持ち歩くには軽い方が良いと思いますが、軽すぎると、電卓を打った時に本体が動いてしまい、ストレスを感じるからです。
軽ければ軽いほど良いわけではありませんので、ご注意ください。
価格が安すぎず高すぎない
簿記1級に適した電卓の価格の目安は、1,000円~8,000円です。
安すぎる電卓は、簿記受験に必要な機能が不足しているものが大半であり、使用すると学習効率が落ち、合格が遠のく可能性さえあります。
一方、8,000円を超えるような高機能電卓も簿記受験には必要ありません。
私自身、8,000円以下(シャープEL-G37)の電卓を使って簿記3級・簿記2級・簿記1級に合格しました。
もちろん高いものは性能も良いですが、8,000円以下のもので十分です。
12桁表示
電卓の桁数は、大きく分けて「10桁表示」のものと「12桁表示」のものがあります。
しかし、日商簿記1級検定では「12桁表示」のものを選ぶべきです。
簿記1級の試験では、10桁を超える計算をすることもあります。
固変分解の最小二乗法なんかは、12桁あった方が計算しやすいです。
また、10桁表示の電卓を持っていき、いざ問題を解いていると電卓の桁数が足りず計算ができなかった…なんて事があってはなりません。
簿記検定は一発勝負なので、後悔しないためにも12桁のものを選びましょう。
液晶が傾斜またはチルト
液晶は、傾斜またはチルトの電卓を選びましょう。
「チルト」とは、液晶部分の角度を調整する機能をいいます。
液晶が真上を向いている状態では、蛍光灯などの光が反射しやすく液晶が見づらいため、液晶が傾斜になっているタイプ、またはチルト機能のあるタイプを選ぶべきです。
底に滑り止めが付いている
滑り止めがついているかどうかもポイントです。
電卓に使い慣れてくると、キーをたたく速度が上がるため、その勢いにより電卓がずれやすくなりますが、電卓の裏にゴム製の滑り止めが付いていれば、電卓がずれにくくなります。
不安定な電卓を使っていると、学習時の集中力が低下する可能性があり、学習効率にまで悪影響を及ぼす可能性があります。
滑り止めの付いていない電卓は意外と多いので要注意です。
また、安い電卓には、「滑り止め付き」のものでも、2か所しか滑り止めが付いていなかったり、滑り止めの大きさがかなり小さいものがあるので注意が必要です。
「00」キーがある
「00」キーは、一度押すだけで「0」を2回入力できるキーです。
「00」キーがあることで純粋に数値の入力スピードが上がるため、これは必須の機能です。
例えば「10,000」という数字を入力する際、「0」キーなら4回押さなければならないところ、「00」キーなら2回の入力で済みます。
簿記1級試験では、スピードが必要になってくるので、「00」キーは、重要なポイントになってきます。
バックスペースキー(桁下げ)がある
バックスペースキー(桁下げ)は、簿記受験において必須です。
電卓入力では、誰でも必ず入力ミスが起こり得ます。
例えば「987,654,321」と入力したいところを、誤って「987,654,329」と入力したとします。
バックスペースキーがない場合、初めから全ての数値を入力しなければなりませんが、バックスペースキーがあれば、最後の「9」を消すことができます。
この機能により数値の修正時間を大幅短縮できますので、バックスペースキーは必須です。
メモリー機能がある
メモリー機能とは、計算結果を一時的に保存できる機能をいいます。
電卓上のボタンに「MC」「MR」「M-」「M+」と書いてあるのがメモリー機能のボタンです。
メモリーボタンの説明
- MC:メモリーをクリア
- MR:メモリー保存している数字を呼び出す
- M-:メモリー保存している数字から引く
- M+:メモリー保存している数字に加える
簿記検定に合格する上で、メモリー機能は必須です。
試算表の合計値を検算する際や、投資の現在価値を求める際など、メモリー機能を使うシチュエーションは非常に多いからです。
メモリー機能を使わずとも全て手書きでメモして計算できますが、非効率ですしミスも起こるため、確実にこの機能が搭載されている電卓を選んだ方がいいです。
GT(グランドトータル)キー
こちらは先ほど紹介したメモリー機能と同じような内容で、=を押して表示された数字を記憶し、GTで記憶した数字の合計値を表示できる機能です
メモリー機能の「M+」の代わりが「=」、「RM」の代わりが「GT」と考えればわかりやすいです。
どちらも同じような機能ですが、状況によって使い分けが必要です。
定数機能
こちらはある条件で打ち込んだ数字が自動設定され、その後打ち込む必要がなくなる機能です。
これについては具体例がないとかなりわかりづらいので以下具体例を交えてご説明いたします。
掛け算の場合
例えば、以下のような計算をしたい時
- 1,000×200=200,000
- 1,000×500=500,000
- 1,000×400=400,000
- 1,000×300=300,000
- GT
合計1,400,000が算出されます、
しかしシャープのEL-G37電卓は、掛け算の前に打った数字(1,000)と掛け算(×)が自動で設定されるため、2回目以降の計算の際には「×1,000」を省略することができます。
先ほどの例でいうと
- 1,000×200=200,000
- 500=500,000
- 400=400,000
- 300=300,000
- GT
合計1,400,000が算出され、かなり数字の入力が減ります。
ちなみにメモリー機能を使おうと「M+」を入力すると、定数設定が解除されてしまうので、定数計算を使用したい場合はGTを使うようにしましょう。
この手の計算は日商簿記1級の工業簿記で多く出てくるので是非覚えておいてください。
割り算の場合
- 10,000÷1.03=9,708.737…円
- 10,000÷
- 10,000÷1.03÷1.03÷1.03=9,151.416円
- 10,000÷1.03÷1.03÷1.03÷1.03=8,884.870円
合計37,170.984…円になります。
しかしシャープのEL-G37の電卓は、割り算の後に打った数字(÷1.03)と割り算(÷)が自動で設定されるため、2回目以降の数字では「÷1.03」を省略できます。
- 10,000÷1.03= = = = GT
すると、先ほどの答え合計37,170.984…円が算出されます。
このような割引現在価値を求める計算は簿記1級では、「資産除去債務」「リース債務」「設備投資意思決定」など多くの場面で出てきます。
ルートキーがある
ルート(√)キーは、簿記3級・簿記2級では不要ですが、簿記1級の原価計算における経済的発注量の計算でルートキーを使うため、簿記1級受験生の方には必須の機能です。
とはいえ、経済的発注量に関しては、出題範囲には含まれているものの、出題頻度は高くありません。
あまり出ないなら「勉強しない」という選択肢もありますが、簿記1級の合格者の大半は対策していると思われます。
簿記1級では、皆ができるところを落とすことは致命傷になるので、勉強するに越したことはありません。
日数計算機能がある
日数計算機能とは、始まりと終わりの「月」と「日」を入力することで、その間の日数を計算・出力してくれる機能です。
簿記検定(特に3級や2級)では、社債や借入金の利息を日割りを行うことがあり、その際に日数計算機能を使用します。
私が日商簿記1級受験生の頃は、試験で日割計算が出題されることはありませんでしたが、絶対に出題されないと断定はできません。
日数計算は、月ごとの日数さえ覚えていれば自力で求めることができますので、必ずしも日数計算機能が必須とは言い切れませんが、電卓に計算させた方が正確に速く計算できますので、できる限り日数計算機能が付いた電卓を選ぶことをオススメします。
キーロールオーバー(早打ち機能)がある
キーロールオーバー(早打ち機能)とは、電卓を早打ちした時の複数ボタン同時押しを正しく認識する機能をいいます。
キーロールオーバー機能があることで計算スピードが上がり、問題の回答スピードが早くなるため、必須の機能といえます。
簿記1級の試験は、スピード勝負なので、キーロールオーバー機能がない電卓を使っている人は圧倒的に不利になります。
サイレントキーであること
周囲への配慮のため、できればサイレントキーの付いた電卓をおすすめします。
もちろん、簿記受験においてサイレントキーは必須とは言えません。
しかし、私が簿記受験生だった頃、サイレントキーの付いていない電卓を豪打している人がいて周りの人が迷惑被っていました。
また、カフェで勉強する時など、サイレントキーがない電卓では、うるさくてやりにくいので、カフェで勉強することが多い人も、是非、サイレントキーの電卓を使ってほしいです。
最後に:電卓をケチると合格が遠のく
日商簿記1級はスピード勝負なので、効率よく問題を解く必要があります。
そのためには、簿記検定に適した電卓が必要です。
私は、今回紹介したSHARP EL-G37の電卓じゃなかったら簿記1級に合格できなかったとさえ思っています。
それくらい電卓は重要です。
「今まで電卓にこだわりがなかった」という方は、是非こだわりを持ってみてください。
驚くほど解答スピードが上がりますし、計算ミスも圧倒的に減るはずです。
今まで安い電卓使っていたけど、これを機に買い換えてみようかな。
そうだね。絶対に良い電卓を使った方がいいよ。
私はあなたの日商簿記1級合格を心より応援しております。
最後までご覧いただきありがとうございます!
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